sumile⭐︎の日記

気が向いた時の備忘録

戦争と農業

こんにちは

sumile☆です!

今日はちょっとお固めの内容を、書きます。

実は、大学院の課題で「サイエンスと政治の関係について考えを述べよ」と言われたので、色々と調べてみました。

そこで「戦争と農業」について自分は考えようと思って、結構興味深いことが分かってきたので、ブログに載せてみようと思いました。

ちょっと重い話かもしれないので、戦争のお話が苦手な人はスルーしていただけたらなと思います。

それでは、どうぞお付き合いください!

 

参考にした図書

 今回は参考にした図書があります。それは、藤原 辰史著の『戦争と農業』です。今
回は本書に書かれている事柄(主に1,2章に戦争と農業についての記載があったのでその部
分)と、私自身が学部生の時に農業に関心があり、農業に多少なりとも触れてきて感じた
ことを織り交ぜながら書いていこうと思います。

 

サイエンスと政治の関わり

 まず、私はサイエンスと政治は深く関わっていると考えています。サイエンスと言うよ
りも今から私が言うことは、技術発展と政治の関係に近いかもしれません。どちらにせよ
、現在のような経済発展はサイエンス(技術発展)と政治が密接に関わっていないとでき
なかったと思います。

 

ラクターと化学肥料の開発

 「戦争と農業」の話で、上記のように考えた理由を掘り下げていきます。一昔前の農業
はすべて手作業や馬、牛に道具を引いてもらって行っていました。日本で言うと、田植え
はみんなで一列に並んで、一列ずつ腰をかがめながら植えていく風景が思い浮かぶと思い
ます。しかし農民は、もっと便利になりたいと思いました。それにより農業の機械化が進
み、効率よく作物が作れるようになり、人口増加につながりました。そこで開発された農
機がトラクターです。しかし、トラクターは馬、牛のように糞尿を出しません。馬、牛の
糞尿が畑の大事な堆肥となっていたため、その代わりのものが必要でした。そこで、開発
されたのが空気中の窒素からアンモニアを合成して作る、化学肥料です。この合成方法を
ハーバー・ボッシュ法」といいます。大変有名ですよね。
 さて、トラクターと化学肥料の開発により、農業は大変便利に、とても効率よく多くの
作物を栽培することが可能になりました。しかし、ここで第一次世界大戦が起こります。
農業の発展のために開発されたこの二つは戦争の道具に変わりました。トラクターは戦車
に、化学肥料は火薬になりました。トラクターは農地の凸凹した地面、すなわち不整地に
強いので、戦場で前方を突破するのに都合がいいと考えられたようです。化学肥料は、ア
ンモニアを合成して作ります。火薬には硝酸を必要とし、硝酸はアンモニアを原料とする
ので、化学肥料製造のために開発されたアンモニア合成が火薬の製造に使われました。「
ハーバー・ボッシュ法」を開発し、農業の躍進に寄与したとして讃えられた化学者のボッ
シュさんはドイツ政府の要請で火薬の原料となる硝酸を作る工場を稼働させました。

 

兵器とノーベル賞

 農業の発展のために開発された機械と方法が、戦争によって人を無差別に殺す道具にな
りました。さらに、化学者であるボッシュさんも戦争のための道具を作るために働かされ
ました。このことから、科学技術の使い方を誤ると恐ろしいことになるのだと言うことが
再認識されました。トンネルを掘るために開発したダイナマイトが戦争に使われて、その
反省あらノーベル賞を作ったノーベルさんは有名ですが、ハーバーさんとボッシュさんは
このノーベル賞を受賞しています。しかし、受賞したのは第一次世界大戦後でノーベルさ
んと同じように発明が兵器に使われた後です。なんか、皮肉なことだなと思いました。

 

毒薬と農薬

 さて、次に逆のパターンを考えてみます。今までは、農業のために開発されたものが戦
争で利用された例でした。次は、戦争で開発されたものが農業に活用された例です。それ
は毒ガスです。毒ガスは、壕に潜って銃で撃ち殺すことができない兵士を殺すために開発
されました。この開発に関わったのがハーバーさんで、彼がドイツ中の優秀な化学者を集

めて開発しました。ハーバーさんは、敵より強力な兵器である毒ガスを用いて戦争を早期
に収束させることが、結果的に犠牲者を減らすことにつながると考えたそうです。しかし
、結果はその逆で多くの犠牲者とそのあまりにも悲惨な兵器であることから、第一次世界
大戦後、ジュネーブ議定書で毒ガスの使用は禁止されました。その余った毒ガスがジュネ
ーブ議定書に合意をしていないアメリカで綿花畑に撒いて害虫を殺すために使われました
。これが農薬の誕生です。毒ガスは農薬になりました。ドイツでは毒ガスを開発していた
会社が、これを消毒する大義で消毒会社を作り。青酸ガスを薄めた液体を穀物倉庫に撒い
て、害虫を殺していたそうです。これで開発されたのは「ツィクロンB」と言う農薬です
。しかしこれは、後にユダヤ人の虐殺のために使われます。毒ガスが農薬になり、またユ
ダヤ人迫害のための毒ガスとして使われました。

 

平和利用という大義

 戦争のために作られた兵器が平和利用という大義のもと、農業に転用されました。一見
、戦争のおかげで今の農業があるように思えなくもないですが、実際その農薬により土壌
微生物などが死んでしまい、土壌劣化が今問題視されています。日本はまだ農薬の規制が
整ってきましたがベトナムなどはまだ農薬の過剰使用が多く、そのせいで若くしてなくな
ってしまう人が多いと私がいた学部の時の研究室のポスドクベトナム人)が言っていま
した。

 

サイエンスと政治の関係

 さて、今までの話を踏まえて、サイエンスと政治の関係について私の考えをまとめてい
きたいと思います。結論としては、サイエンスと政治は切っても切れないものだと考えま
すが、政治があってからのサイエンスだと、私は考えています。先ほどあげた、トラク
ー、化学肥料、農薬の開発ですが、すべて経済が発達し、必要となったから開発されまし
た。それが政府からの要請であったものもあれば、化学者が自ら開発したものもあります
が、いずれにせよ政治経済の動きが研究に関与していると言えると思います。私は個人的
に農業に興味があるので、今の日本の農業が衰退しないように私の得意分野で何か貢献で
きたらなと思っています。

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございます!

総括として、技術の応用方法を今までもこれからも間違えないようにしないといけないなと感じました。

今回のブログでもっと読みたい本や学びたいことが出てきたので、また報告したいと思います!

 

それでは、またお会いしましょう!